《ジェフ・ダウンズが語る》: 4
グレッグ・レイクとのコラボは、どうでしたか?
グレッグは、一緒に仕事するのは難しいタイプだったね。いいやつだし、すばらしいミュージシャンなんだけど、とにかく完全主義者なんだ。
6ヶ月一緒に仕事して、6曲しか作れなかったんだ。ある日突然「今日は歌いたくない」と言いだしたり。
「終わりの見えないプロジェクト」だったね。
ジョン・ウェットンとは、どうでしたか?
ジョンは本当に「真のブラザー」だったね。でもすごく謎めいたキャラクターだけどね。
ものすごく引きこもってるかと思えば、サッカーや政治の話を何時間も語り明かしたり。
ジョンはアルコール依存とよく言われてるけど、僕らのあいだでは全然問題はなかった。意見がぶつかることもなかったし。
そして彼は最高のベースプレイヤーだよ。その点ではジョンは「クリス・スクワイア組」だね。
ではそのクリス・スクワイアについて
クリスは、「ロックンロールのライフスタイルとはどういうものか」ということと、「最高のミュージシャンとはどういうものか」という、ふたつのことを発明した人なんだ。
人づきあいの場面でも、彼は”サイコー”だったよ。
ドラマのツアーのときは、僕らはプライベートジェットで移動してたんだが、クリスはいつも、上半身はすごくかっこいいジャケットなのに、下半身はパンツ一丁なんだ(笑)
なぜって、いっつも遅刻するからね。
だから「遅刻魔クリス」ってアダ名があるんだけど。
ビル・ブルーフォードは、それが我慢ならなかったんだよ。僕は気にならなかったけどね。
クリスがいなくなった後のステージは、どんな感じでしたか?
不思議な感覚だったよ。今でも鮮明に覚えてる。
僕はいつも、クリスの背中を見ながらプレイしていて、それがとても居心地よかったんだ。
タイミングごとにクリスがウィンクして合図してくれてたんだけど・・そのウィンクが、もうないんだ。
クリスは・・体格も巨大だったけど、存在も巨大だったんだね・・
クリス・スクワイア、グレッグ・レイク、ジョン・ウェットン、キース・エマーソン・・プログレの巨人たちをあの頃短期間に失ってしまいましたね・・
たしかに。あの数年はつらい時期だった。
「自分もいつまでできるかわからない」って、真剣に考えてしまうよ。
そして彼らが遺してくれたものを振り返らずにはいられないね。
そんななかで、クリスを失っても前進しているイエスがあるいっぽう、アンダーソン・ラビン・ウェイクマンが誕生したりしています
イエスのことを「家庭崩壊」に例える人もいるけど。
そのたとえでいえば、前進するときもあれば後退するときもある。
でも、どんな時代でも熱心に聴いてくれるファンのために前進しているんだね。
確かに言えることは、「イエスは常に、いい音楽を作り続ける」ということだね。
つ・づ・く・・・