発酵食の歴史 : 1
「人間が発酵を発明したのではない。発酵が人間をつくったのだ。」
発酵食品は
- おいしい
- 栄養価が高い
- やわらかい
- 食べやすい
- 保存がきく
- アルコール成分を含んでいるので、気分が昂揚できる。
など、いいことずくめの利点がある。発酵を発見したことによって人類が大進化・大発展したのである。
先史時代の人類は、1日のうち約12時間を、食べものの咀嚼に費やしていた。
(現代の人類が咀嚼や消化に必要な時間は、約1~2時間である。)
硬い木の実や種子、生肉を噛んで消化するためには、それだけの時間が必要だったのである。
つまり、1日のうちほとんどは口をモグモグクチャクチャしていて、ゴロゴロしていたのが実際の姿なのである。
発酵を発見し利用できるようになったことで、この時間が大幅に短縮できた。
食べものがやわらかくなったおかげで、アゴと臼歯が退化し、そのおかげで脳が大きくなった。
消化が早くなったために腸が小さくなった。そのおかげで、直立できるようになった。
「空いた時間」が増えたので、遠くまで移動できるようになったし、より生産的な作業に集中できるようになったわけである。
《原始人が食べていたのは、死肉だった。》
よくある ”原始人が槍や石を構えて集団でマンモスを狩っていた” というのは、完全なフィクションか、よっぽどレアケースだったのではないか、と私は思う。
野生の動物がそんなに簡単に捕まえられるわけはないと思う。
実際に食べていたのは、たまたま川で溺れて死んだ野牛や、他の動物が殺した獲物の”余りもの”だと考えられている。